白い浜辺



私は蒼空を見た。蒼空は私に泌みた。私は瑠璃色の波に噎ぶ。私は蒼空の中を泳いだ。そして私は、もはや透明な波でしかなかった。私は磯の音を脊髄にきいた。単調なリズムは、其処から、鈍い蠕動を空へ撒いた。

ふるさとに寄する讃歌ー夢の総量は空気であった・坂口安吾 1931年(昭和6年)

かつて私は遠い街にてしばらく過ごした後、再びMY HOMETOWNへと戻って来た。戻って来た私を出迎えてくれた場所は、この白い浜辺が広がる海であった。
変わらない風景、変わりようのない風景であったが、不思議と懐かしいような温かさで出迎えてはくれなかった。その頃、私はただただ沈黙を貫き、様々な人とその関係性が遠ざかるのを阿呆のようにただ眺めていた。空っぽの中心、その空虚を無理矢理埋め合わすためのあらゆる言葉に対して口を閉ざした。
風と波の音だけが静止したまま、ガランとした空洞の風景が意味もなく繰り返されていた。

それから二十年経った今日でも、変わらない風景、変わりようのない風景である。
ただ、この場所に立っている私自身は、かつてとは全く違った在りようとなった。
二十年も前に、少しも想像すらしなかった私自身と私を取り巻く今日がある。
変わらない風景、変わりようのない風景は、私自身の変化を写し出す大きな印画紙である。

変わらない風景、変わりようのない風景の中に見えるものは、かつての私自身への懐かしさと羞恥心のようなものだろう。

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CAMERA: Leica M Monochrome type 246 LENS: Summicron M 50mm F2 (6bit)
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