彼岸と此岸



慌ただしく、短い旅ではあったが、列車に乗り続けている時間が長い旅であった。
いつもは旅の途上で、車中で本を読んだり、しばし仮眠したり、気分転換用の普段読まない雑誌を買ったりと、時間をやり過ごしていく工夫を凝らす。
しかし、今回の旅は移動の時間に重みを感じることもなく、車窓からの風景を眺めているうちに気がつけば目的地へと辿り着いていた。

以前のPOSTでこんなことを書いたことがある。
「日常の時間と空間の連続から切り離された「旅」という体験は、いつも絶え間なく働き続ける思考、そして沢山の想いを抱え続ける心に、まだ空っぽの新しいスペースを与えてくれる。」
と。

走り続ける列車は窓の外の風景を次々と追い越し、スピードの向こう側にその風景を置き去りにして行く。
しばらく心を空っぽにしたまま、去来する車窓の風景に視線を預けたままにする。
忘れかけていた記憶の断片が不意にフラッシュバックしたり、カタチを与えられなかった感情に不意に言葉が降りて来たり、また今までの自分の言葉や感覚が急に遠く離れて行ったり、大きな時の経過の中で思わぬ巡りと縁を見出したり、旅が作り出す新しい心のスペースに様々なモノが湧いてはまた消えて行く。

遠くに居る友と、久々の再会を果たす。
強い陽射しの下、昼間からビールを酌み交わすのは懐かしく、全く時間が止まったままのような気もする。
私自身が「この私」に対して向ける視線は、内省的でネガティブな心の影をいつもあぶり出す。
一方、旧友が「この私」に対して向ける視線は、私自身がもっとも引き出すべきポジティブな部分をたった一言で教えてくれる。

遠くにいる友が育った街、その幼少期から青春期の体験を共有しているはずもないのに、私はいつもこの街に懐かしい風景と心地の良い風を不思議と感じる。
彼岸から此岸へと掛かる橋を渡り、私は旅の帰路に就いた。
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