秋雨の朝、夏雲を想う


長い秋雨が数日降り続いている。
こんな空模様が長く続くと普段は憂鬱な気持ちにもなるものだが、この長い秋雨は熱を帯びた私の身体を少しずつ冷まし、その雨音は静かに私の心の中に響く。やるせないほどに空が高い秋晴れの日が続くより、こんなしっとりとした日が続くのも悪くはない。
そんな長い秋雨の夜、ベッドの中でいにしえの秋歌を紐解いてみる。

あかつきの露は涙もとどまらで恨むる風の声ぞ残れる 相模

夜明け前のお別れの時、涙は止め度なく流れ落ち、朝が明けてしまえば嘆き悲しむような風の声だけが残っていたよ、なんていうニュアンスの歌であろう。

日本的美意識、集団的無意識の面白いところは、物事の因果関係や主述関係を、自然や季節の移ろいに投影して語ってしまうところであろう。
上の歌も、お別れの時が来るのは誰のせいでもなく朝が来てしまったからであり、嘆き悲しむ声を発する主語は「風」であったりする。主述関係、因果関係によって構築される英語には、とてもそのニュアンスが訳しにくい歌に思える。
ただ、そんな曖昧さが日本的美意識の美しく優れたところで、平安期の歌や古典、明治から昭和にかけての近代小説、そして現代の映画やドラマや歌謡に至るまで、幾度となく巡り繰り返す季節や自然の姿に自分自身の心の有りようを投影して、日本人は悠久の年月にわたり物語や歌、そして言葉を紡いで来たようにも思える。

長い秋雨の朝、クルマの曇ったサイドガラスに浮かび上がった残像。そんなイメージ越しに、何故だかふと梅雨明け頃に見た夏雲や光を懐かしく思い出す。
そんな気持ちになるのは、やはり自然や季節の移ろいを切に感じさせる雨のせいだろうか?苦笑
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CAMERA: Leica M Monochrom typ 246 LENS: SUMMICRON 50mm F2
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